僕の隣で後輩くんがパソコンを持っていて、棚の奥の方に置こうとしていたのだが、そのときに、パソコンを置く場所の手前に数本のケーブルが垂れ下がっていて邪魔になりそうだったので、僕は手でそのケーブルをめくり上げた。
そのとき、枕草子のアレを思い出した。
枕草子 第二八四段
雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子参りて、炭櫃に火おこして、物語などして集り候ふに、「少納言よ、香炉峰の雪、いかならむ」と、仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせ給ふ。人々も、「さることは知り、歌などにさへ歌へど、思ひこそよらざりつれ。なほ、この宮の人には、さべきなめり」と言ふ。現代語訳
雪がたいそう降り積もっている日、いつになく御格子(雨戸)を下ろしたまま火鉢に火をおこして、女房たちが物語などして集まって控えていると、中宮様が「少納言よ、香炉峰の雪はどんなかしら」とおっしゃるので、御格子を上げさせて御簾を高く上げたところ、にっこりなさいました。女房たちも、「そんな漢詩は誰でも知っているし、歌ったりもするけれど、考えてもみなかったわ。やはり、中宮様にお仕えするには、こうでなくてはね」と言ったのです。
懐かしい。学校の古文の時間にやった枕草子の一節である。「私元ネタ知ってますよアピール」と「元ネタ理解してるお前流石やし、元ネタ知ってると踏んで試してみた自分も流石じゃね?」みたいな、現代にも通じるウザ楽しいノリが感じられる、面白エピソード回だ。
香炉峰の雪、とかそういう細かい言葉は忘れてしまっていたが、記憶に残るお話であった。
邪魔なケーブルをめくり上げた今回の状況と、枕草子のこの回のエピソード。
清少納言も、同じ気持ちだったのだろうか。
「この状況…めくり上げるしかない!!!」
一瞬、清少納言と通じ合えた気がした。
実際は、めくり上げる以外に何一つ一致していないのだが。
あんま知らんけど、枕草子は偉大な作品だと思う。
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