Foot著 "Atomic Physics"
Atomic Physics (Oxford Master Series in Atomic, Optical and Laser Physics)
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C. J. Foot
Oxford Univ Pr
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Oxford Univ Pr
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うちの研究室での原子物理入門書的位置づけ。学部生の課題演習の輪読にも使われている。最初の1冊としては無難に良い。hyperfineまでの一通りの準位構造と、原子と光の相互作用、分光法、レーザー冷却とトラップ手法、BECまでとカバーしている範囲は広い。うちでは、最初に一通りさらって、さらに実験をしながら分からないところは再読という形で使われていると思う。
Metcalf and Straten 著 "Laser Cooling and Trapping"
Harold J. Metcalf Peter van der Straten Peter van der Straten
Springer (2013-10-04)
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俗にいう黄色い本("yellow book")。僕は副読本的な立ち位置で部分的にしか使っていないが、タイトルの通り冷却とトラップについてはこちらの方が詳しい(たとえば蒸発冷却とか)。周囲でも読んでる人が多かったので挙げておく。
Steck著 "Quantum and Atom Optics"
Daniel A. Steck氏が自身のホームページで公開しているpdfで、1200ページ近くの大著。後輩が見つけて、最近ではうちの研究室でじわじわと認知度が上がっている。圧倒的情報量で、かなりオススメ。
Steck氏のページの該当箇所のリンク(Quantum and Atom Optics)
↑pdfの容量が大きいので、直接pdfへのリンクを貼るのは避けた。"(pdf, many MB)"というところから閲覧できる。
特に
- Lindblad形式のmaster方程式の正統派な導出と、一般化された"Lamb shift"について書いてある(第4章)。
- Adiabatic passageについて紙面を割いており、Landau-Zener公式についてもまさかの導出付き(第5章)。
- 角運動量の議論が異常なほど充実しており、光学遷移の勉強に良い(第7章)。
章によっては、原子物理と関係なく量子力学の教科書として使えるところもあるので、専門外の方にも価値があるかもしれない。
Steck著 "Classical and Modern Optics"
Steck氏のページの該当箇所のリンク(Quantum and Atom Optics)
↑pdfの容量が大きいので、直接pdfへのリンクを貼るのは避けた。"(pdf, 28 MB)"というところから閲覧できる。
Pethick & Smith著 "Bose-Einstein Condensation in Dilute Gases"
C. J. Pethick H. Smith
Cambridge University Press
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Cambridge University Press
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日本語訳も存在するが、記憶が正しければ古い版のものを訳していたはずで、最新版(3rd edition)の内容(特に後半で追加された部分)は洋書にしかない。
ペシィック スミス
吉岡書店
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BECに関しては上田先生の”Fundamentals and New Frontiers of Bose-Einstein Condensation”も有名だ。複数比較したい人はこちらも。
久我隆弘 著 ”量子光学”
和書でコンパクトにまとまっている本。これも、準位構造と、原子と光の相互作用、分光法、レーザー冷却とトラップ、BECまで一通りカバーしており、日本語で読みたいんじゃ、という人にはこの本を薦めている。
Brown & Carrington "Rotational Spectroscopy of Diatomic Molecules"
Rotational Spectroscopy of Diatomic Molecules (Cambridge Molecular Science)
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John M. Brown Alan Carrington
Cambridge University Press
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2原子分子のための教科書。実験で分子を使うときがあって、その際分子を勉強しようと思って先輩に聞いたところ渡された教科書。分子を専門にしていた別の人に聞いても、この本を挙げた。非常に分厚いし、該当箇所しか読んでないので感想を述べにくいが、丁寧に書かれているので本気で必要になったときには読むべき本なのではと思って掲載しておく。
2原子分子で日本語で読める教科書では以下の「光と物質の相互作用ー外部場の中の原子・分子の挙動および非線形光学」しか知らない。分子に関して以外にも、原子のことや非線形光学について丁寧に書かれており、貴重な本。
チ・H.リー ウェンデル・T.ヒル
エヌ・ティー・エス
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さいごに
良さそうな本があれば追加するか別途書くことにする。
冒頭でも述べたが、光格子系などで見られる多体物理現象を勉強するための本は取り上げていない。そういうものについては、基本的に僕らはReview論文やそれぞれの論文を読む。
また、挙げた内容は冷却原子そのものに関係したものに限定している。本当は「計測のための誤差解析入門」とか「真空技術」とかそういった技術的な本も読んだりするが、そのあたりは割愛した。細かい部分は研究室の先輩や、海外の研究室の修論・D論を読もう。
トミタさんこんにちは.
返信削除最近,こちらのブログを拝見しました.
私も博士後期課程3年の学生でポラリトンデバイスについて研究しています.
トミタさんのご専門とは少し離れておりますが,量子光学の教科書のご紹介は非常に参考になりました.
私は来年度から,企業に就職で今までの研究とは関係ない業務に就くと思いますが,
休日に上記の本を手にとってみようと思います.
また,お勧めの専門書,レビュー論文等ございましたら,ご紹介よろしくお願いいたします.
こんにちは。コメントありがとうございます。励みになります。
削除専門外の方から量子光学や冷却原子に興味を持っていただけるというのは、研究をしている身としては非常にうれしいです。
今回、こういったまとめ記事にもある程度需要があることが分かったので、今後も何らかのレビューをしてみようかと思います。
ご返信ありがとうございます.
削除研究室の後輩が他研究機関でアトムトラップの研究をしており,
以前から興味を持っていましたのでよかったです.
また,トミタさんのブログでは過去に
学会発表や学振申請についての大変興味深い投稿がありまして,
もう少し前から知っていればなと後悔しました(笑)
来年度,D進する後輩たちに勧めたいと思います.
後輩さんへの宣伝ありがとうございます!
削除