2016年4月20日水曜日

学振申請書を書いたときのことをメモした


去年の今頃に学振DC1の申請書を書いていた。
その当時、とにかくどんな些細なことでもいいので情報が欲しいと、ネットでいろいろ情報を探しては読んでいた。
情報を鵜呑みにするのだけはよくないが、いわゆる「藁をもすがる」で、とにかく先人の情報を求めていた。
どのような文章が望ましいか、図はどうか、誰に読んでもらった、いつ書いた、という話から、採点のシステムがどのようになっているのか、といったことも載っていたりして、書類作成について理解が深まったし、書く際に非常に参考になった。

審査の結果は、面接免除で採用。

というわけで、参考になるかわからないが、メモ書き程度に書類作成時のことを書き留めておく。
こうすると良い、ということを書くつもりはない。経験を書き留めておく、ということである。

作成スケジュール
提出までの流れは、だいたいこんな感じ。
①大学内の説明会に参加
②申請書に関する要項読み
③先輩方の申請書集め、読み
④初稿作成
⑤添削・改訂
⑥提出
大学内の提出期限が2015年5月20日だったことを踏まえて、どんな感じのスケジュールだったか振り返る。

①大学内の説明会参加(3月5日)
大学内で学振に関する説明会に参加。
学振のシステムとか申請書の書き方とか先輩方の経験談とか。
資料として、過去に申請書を書いた方に対して行われたアンケート結果をまとめた冊子を頂いた。結構読んだ。
特に、初稿を早く書いて推敲しまくれ、ということを強調され、その後の「とにかく早く完成させて見てもらおう」という気持ちを作った。
早く書かねばという危機感を感じたという点で有意義だった。

②申請書に関する要項読み(①のあと)
学振のページにある募集要項・申請書作成要領を全部印刷して読んだ。
大事なところに線を引いて。読んでなくてミスったら死ぬし。

③先輩方の申請書集め、読み(3月下旬)
物理学会が終わってから、先輩方にお願いして申請書を頂いた。
自己評価欄だけは見せないという方が多かったが、それ以外の部分をありがたく頂くことができた。
最終的に8人の方の書類を読んだ。

④初稿作成(4月27日まで)
1か月くらいかかってたことになるのか。結構かかってるな。
単に文字を書くのに1か月というわけではなくて、
現在までの研究を振り返って、過去の研究の動向を確認して、書こうとしている研究の位置づけを見定めて、意義を明らかにして、・・・といろいろ考える時間がかかった。
単なる書類作成ではなくて、ドクターでの研究方針を定める行為といってもいいわけで、指導教官である教授さんとの長めの話し合いも4月21日にした。
図も綺麗な物を作るには時間がかかるので、こんな図になりまぁす、と仮の図をはめておいたりした。

⑤添削・改訂(5月18日まで)
添削をお願いし、その結果を反映して改訂版を作るのをひたすら繰り返した。
5月10日を最後に、実験を一旦中断し書類作成に専念した。

⑥提出(5月18日)
5月18日の夜に提出した。

内容とか書き方とか
研究内容では、複数の分野に対して意味がある、別の観点でも興味深い研究であるということをアピールした。
書類に指示されている内容通りに書くと、なんか書くことが複数項目でかぶったりして、その辺をうまく調整するのに時間がかかった。
むやみに専門用語を使うのは避けた。
専門用語を使う場合は、説明・定義がされているか、新出単語にマーカーで線を引いて、説明・定義をしている部分まで矢印を引っ張って、確認作業をした。
分科・細目があるので、ある程度その分野の方が読むはずだが、もちろん完全に同じ分野の方ではないはず。
フォントは、普通は明朝体で、重要なところはゴシック体の太字。
パッと見て、字が埋まりすぎて嫌気がささないように、行間の調整をちまちまやったりした。
一人称は「私」だった。「申請者」という一人称を当時初めて知って驚いた。

やりたいことの概念図的な図が1つあった。
審査員の方が審査にかける時間は決して多くないはず。
僕らだって、例えば論文を読むとき、まずアブストをザーッと見て、サァーっとスクロールして、図をテテテっとみて、「ふーん」って言うはずなので、とりあえずさっと何となくそれっぽい感じがつかめるように概念図っぽいものを置いた。
それ以外は、実験結果を示すグラフや画像だったり、実験方法を説明するための図があった。
審査員は白黒の書類を見る、ということだったので、最初から白黒の図を作った。
(カラーでもいいと思うけど、白黒になった時にどうなるか確認しつつ、という作業が二度手間に感じたのでやらなかった。)

業績は、書くだけ。
論文は無かった、書いたのは発表だけ。
物理学会の口頭発表や、各種研究会のポスター発表など。

自己評価欄は息抜きっぽくて楽しい。
見せて下さった先輩方の自己評価欄を見て共通して感じた点は、
・自分を大きく見せようと必死って感じの文面ではなく客観的で論理的。
・自己をそのように評価した根拠を明確に記述している(このへんで客観的と感じた?)。
というわけで、そういう点を意識して書いた。
最初は主観的に書きそうになったが、根拠を示して書くと見通しがよくなった。
研究職を志望する動機、目指す研究者像については、普段から考えていることを書いた。

添削
見て頂いた方は、
・一緒に研究している助教さん(申請書に書く内容を、読む前から把握している)
・一緒に研究していない准教授さん(把握していない)
・教授さん(把握している)
全て研究室内の方だ(これが良いのかは不明)。
(ネットでは、研究室外の、異分野の方に見てもらったということを書いている方もいた。)

見てもらう前に、誤字脱字、文章が意味不明、などの最低限の日本語の部分は自分で音読して確認。
一旦PC上での編集を止めて、全部印刷して、赤ペンでいろいろ書き込みを入れて、それが全部済んだらもう一度PCで編集をした。その繰り返し。収束したら、誰かに見て頂く。
それでも、誤字脱字はあった。「磁場を印加」が「磁場を印可」になってたり。
見て頂く方にもいろいろスタンスがあって、細かい日本語を指摘していただいたり、細かいところではなくて全体的に受けた印象を書いてくださったり、こういうことを書いてないけどどうなの?という意見を頂けたり、様々だったので、そういう意味で複数の方に多面的に見て頂いてよかった。

特に、ある方からは一言「難しい」と言われ、その後結構修正した。
同研究室の方に「難しい」と言われては、審査員に通じるわけがない。
見て頂くことの重要性を痛感した出来事だった。

他にも、図の印象と文章がずれている、とか、なぜこれをやりたいのかよくわからない、などのコメントも頂いた。

人より丁寧で見やすくて面白そうと思わせないと通らない、と思い、勝手に妥協したりとかせず、見て頂いた方のコメントが積もりに積もっても常に圧倒的感謝の精神を保つようにした。

最後に
書きながら振り返ると、ネットで情報を拾ったり、説明会や、先輩方の書類や、添削など、多くの人の手を借りて書類を作成したことが分かった。
特に、このメモを書きながら改めて他人の目を通すことの重要さを感じている。
これらが無い状況を想像すると恐ろしい。

ここにはおそらく、ネットに既に転がっているアドバイス以上のことはほとんど書いていないと思う。
最近は本も出たようだし、有益な情報をたくさん集められるだろう。
逆にこれを読んで、知らないことが書いてあると感じたとしたら、もっと情報収集をしてもいいのかもしれない。

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