2015年5月27日水曜日

QIT32

5/26,27と、QIT32に参加してきた。
参加と言っても、発表なし、単に聴講に行った。
(こないだの物理学会で話したことでポスター発表出来なくはなかったのだが、QITのポスター締め切り前に行った実験で、これまでの結果とinconsistentな実験結果が出てしまって、見送った。結局inconsistentだった実験の方が正しくなくて、その後再現性のあるconsistentな結果に落ち着いたので、今となっては問題ないのだが。次の量子情報系の研究会「新時代」に出そう。)


ざっと感想を書き留める。



1日目は結構物理っぽい内容が多かった。
カシミール効果とかレーザーとか光学とか。
そして、テンソルネットワークのチュートリアル講演があった。
特に、量子シミュレーションをする人間にとっては、古典計算機でどのような計算をどこまでできるかということは知っておかなければならないことで、「テンソルネットワーク=なんかいろいろなところで聞くし何回か講演を聞いたりしたことあるけど結局よく知らないやつ」という現状を打破しようと思っていたので、楽しみにしていた。
講演は、とても丁寧でわかりやすく、テンソルのネットワークって何なのか、量子多体系を記述するテンソルネットワークってどんなのがいいのか、実際の計算例などを順に追って頂き、(もちろん実際の詳細を理解したわけではないが)何をやろうとしているものなのかがわかった。

通信、暗号、デバイスについての話もいろいろあって、理論実験ともにかなりpracticalなところまで進んでいる印象。

ポスターセッションではJaynes-Cummungs-Hubbardの量子シミュレーションの実験の人と話した。
JCHについては、解放系のJCHの気になる研究があるのでその関連で興味があったから。

懇親会では、NP-hardがpolyで解けたら世界がヤバいみたいなやつ(?)の話とか、量子アニーリングにとっての得意不得意な問題とかいう目線で問題を分類してみたいなの(?)の話とか、を横で聞いていた(自分で話していたわけではないのであんまりちゃんと書けない)。
とても楽しかったのは覚えてる。



2日目は朝から弱値の話がいくつかあった。
弱値が物理的にどんな時に出てきて、どんな意味を持つのか。
モデル上でうまく弱値が現れて、そこでの現れ方から弱値ってこんなツール・物理的意味だ、という話で、一年前のQITでもそのような話がいくつかあったように思う。
今はmodel dependentだが、いろいろなモデルの弱値・弱測定について多くの研究がなされた結果、後々には、統一的な解釈が得られて能動的に弱値を使っていく時代が来るのだろうか。

測定理論もそうだし、一日目よりも抽象的で数学的な話が多くあった。

2日目のチュートリアル講演はエンタングルメントエントロピーと共形場理論。
臨界点付近の相関とエンタングルメントエントロピー、相互情報量、CFTとの関係について。
CFTについてよくわかってないせいで見渡せない所があったけど、それでもたぶんE.E.とか相互情報量~相関~臨界点付近の相関の振舞い~CFTみたいな感じのつながりはちゃんと感じたよ。
ほんとはそこからまだ「~AdS」まで行くらしいが。


ざっと思い返してみたが、チュートリアル講演で得るものが多かった印象。
改めて、量子情報の分野の広さ、適用範囲の広さを感じた。
そして、一年前は抽象的で理論的な話に興味の重心があったが、やはり具体的な物理系の実験を一年すると興味の重心がそちらに移っているのを感じた。

帰りは、明日基研でセミナーがある偉大なる先輩と一緒に移動し、研究についていろいろアドバイスをもらった。


相変わらず雑多な感想の書き留めだが、以上。

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