2017年1月29日日曜日

手慰み


外で食事をするとき、紙ナプキンを使う。
口元を拭いたりする為の白い小さい紙。
料理が運ばれて来る時に1枚添えられていたり、テーブルサイドに置かれた束から1枚とったり、大学の食堂ならレジ横に箸やスプーンとともに置かれている。

食事が終わると、僕の紙ナプキンはいろんな形になっている。
綺麗に四つ折りになっていたり、ランダムに折りたたまれていたり、くしゃくしゃに丸まっていたり。
折ったり丸めたりしているのは他でもない自分なのだが、気がついたらやってしまっている、という表現が近いような、無意識的な行動のようで、気がつくと手元に、もともと紙ナプキンだったものが存在している。
同じように、ストローを包んでいる紙の細長い袋もまた、しばらくすると色々な形に変形している。
どうも、そういう癖があるらしい。

その日、紙ナプキンは細長く丸められていた。
その色とフォルムはちょうどタバコのようだった。
案の定、僕はそれを左手の人差し指と中指で挟んで持って、くるくると、先端で8の字を描くようにして遊んだ。
火がついていたら、ちょうどオレンジ色の光の残像で綺麗だろう、ということを想像して。
タバコを吸う人間ではないのだが、こうやってタバコの「おままごと」をしているとなんだかいい気になってくる。
そういう子供達のためにココアシガレットがあるのであって、そういう大人たちのためにタバコがあるのかもしれない。
やはり、何らかの手慰みがあると安心してしまうのだろう。

同時に、岸政彦氏のブログに書いてあったことを思い出した。
sociologbook; この程度でよい
形だけ、というのもそれはそれで愉しいものである。

次の日、タバコを吸おうとは思わない僕は、久しぶりにココアシガレットを買いに行った。
オレンジ味があったので、そちらを購入。
10箱、60本。
しばらくはこれで過ごそう。
無果汁

2 件のコメント:

  1. いつも楽しく拝読しております。
    オレンジシガレットはどこで入手されましたか?
    よろしくお願いいたします。

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    1. コメントありがとうございます!
      京都のロフトにて、購入しています。
      ハッピーターン特大とか、フーセンガム特大とか、そういったバラエティグッズという扱いで置いていました。
      10箱(カートン?)で300円+税です。
      時代でしょうか、コンビニやスーパーでは全くと言っていいほど置いていませんね。

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