続き。
3日目
印象的だったのは、藤井さんの古典計算機でシミュレート可能かどうかの観点による量子古典の切り分けについての話。
magic state distillationの境界よりnoisyな系はシミュレート可能という話だった(はず)。
何らかの文脈で量子古典の境界を線引きする、というのはやっぱりやってて気持ちいいんだろうなあと思った。
あと、量子ドット中の量子ビットの性能保証の話も面白かった。
手元に2準位系が出来たとき、何を見るべきかを具体的に追体験できたといった感じ。
つまり、デコヒーレンス時間がどの程度かをどうやって測定して、ゲート操作がどの程度の精度で行えるかをどうやって保証して、という、手元の2準位系が”操作できる量子ビット”であるということを確認するステップを追うことができた。
こないだ初めて知ったrandomized benchmarkingが出てきたし、タイムリーだった。
僕も最近、光格子中の原子の2準位を操作しているので、この話(とあとNMRとかのパルス打ちまくる系の話)を聞いて、うちも頑張ろうと思ったのであった。
4日目
最終日は、福原さん、田家さん、戸塚さん、段下さん、と冷却原子系の講演が集まっていて僕はホクホクである。
みんなはどう感じてたんだろうか。
それよりも気になったのは、増田さんのfast forwardとか高橋さんのshortcuts to adiabaticityの話だ。
適切な外場・ハミルトニアンを与えることで、量子状態のダイナミクスの速度を制御させる話だ。
式の上では簡単ではない印象を受けたが、一応光格子系の実験に向けた計算があったりもして、スルーできない内容だった。
ただ、ちゃんと理解できてない所もあり、もうちょっと落ち着いて勉強したいという感想を持った。
あと、松浦さんの量子アニーリングの誤り訂正、後で研究室に戻ってから研究に使えるかもしれないという話になり、ちょっとエラー耐性とかの視点でいまの実験系を見直すのもよさそうな気がしている。
思わぬ収穫である。
というわけで、ざっと振り返った。
(このへんまで読まずに飛ばしても差し支えないと思う。)
まず、個々の講演が面白かった。
そして、理論と実験の交流、違うけど似てる研究をしている人同士の交流がある研究会だったと思う。
多分その辺を意図しての研究会だったと思うが、自分も少なからずそういう交流が出来たし、交流が活発に行われていたように感じた。
また、これが参加してて一番感じた事なんだけれど、テーマとしてあるように、様々な系において”量子制御技術”が現状どの程度出来るのか、人間がどの程度自由に量子状態を操れるのかを理論に伝え、目指すべき量子制御技術がどこにあるのかを理論が実験に伝える、みたいな感じのことがあったんではないかなと勝手に思っている。
そういう交流を促す研究会として、楽しい研究会だったと思う。
次があるのか知らないけれど、次もまた「新○○」が開かれて、集まることができればいいなと思う。
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