2013年10月7日月曜日

「巨人の底力」(3)


この空間が魅力的である理由を説明したいと思う。
といっても、伝わるのかどうか不安ではある。
というのも、魅力というのは、この空間から聞こえる音についてだからだ。

風か強い日になると、この空間全体から「ボーー」という音がする。
「ボー」というか「ホー」というか、何とも言えないが、建物の配置関係と風によって生まれた独特の音である。
半年過ごしてきての少ない統計ではあるが、ざっくり言って、この位置では、風が北西から南東に向かって吹く時と、南東から北西に向かって吹く時がある。
音がするのは風が北西から南東に向かって吹いているとき、というのが今のところの認識だ。
ちょうど傾斜を下る感じでCクラスターからBクラスターに向かって吹く形になる。
左上から右下に風が吹くとき、鳴る。
風がある程度の強さになると、音が鳴り始める。
どこか特定の場所で鳴っているわけではなく、なんとなくこの円形の空間から聞こえる。
質としては、ビンの口に浅い角度で息を吹き付けたときに鳴る汽笛のような音だが、それほど強くしっかりした音ではないし、高い。

吹き付けた風が下の隙間を通って抜けるためなのか、この円形の部分が本当にビンの口のような感じになっているのか、素人だし気流が見えないので何とも言えないが、特別な位置関係だから妙な音が鳴っているのだろう。




文中の「下の隙間」というのは、UFO的なものの向こうにある隙間のこと。
キャンパスが傾斜に建っているので、これを撮影しているところは「地面」の高さだし
これを撮影しているところも「地面」の高さだ。
今は下の隙間から撮影している。
「巨人の底力」というタイトルに見合う重厚な音ではないが、少なくともミステリアスな雰囲気は出ている。
夜に聞くと、照明も相まって格別である。

もし、音が鳴るように狙った設計なんだったら素晴らしいが、たまたまなんだろうと思う。
でも、そこに変な作品を置いて、結果的にそれっぽい演出になっている、ということが
僕にとってはとっても魅力的だ。

おしまい

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