2021年11月9日火曜日

「量子情報春の学校2021」感想 - 2日目 -

さて1日目に続き、2日目のまとめ。 

2日目

藤井さんの「量子誤り訂正の理論と実践」から2日目が開始。CommentScreenというニコ生みたいにコメントが画面上に流れるツールを使ってコメントを拾っていく。いいねマークやハートマークが画面底から湧き上がってきていた。量子ビットとは?レベルの基礎基礎から入って、最速で量子誤り訂正まで到達する。実験における進展も解説されていてオールインワンの授業といった感じ。

その後、中田さんから「量子の情報理論 ーエンタングルメントから通信限界までー」。青年海外協力隊として2年間アフリカに行っていたのだそうだ。研究の世界に入ると修士博士ポスドク次のポストは???…と焦燥感にさいなまれてしまうが、こういった人生的に豊かっぽいキャリアを見ると、そういうもんでもないんだよなという気になれる。講義では、初めにヤングの干渉実験のセットアップでクイズが出題され、そこから量子情報理論が展開されていった。

午後は僕の講義「リュードベリ原子量子シミュレータ・コンピュータ」。冷却原子実験の中でも、リュードベリ状態という高い主量子数に励起された中性原子(=リュードベリ原子)を使った量子シミュレータと、さらに量子計算への応用の研究について。僕が今まさに研究している領域の内容である。正直、参加者のほとんどが冷却原子系のことを知らなくて、ましてやリュードベリ原子などとの関わりはゼロだろうと、そして講義前の段階では特に興味が無いだろうと思っていた。なので、ある程度の人に参加してもらえてその時点で嬉しかった。さらに適度に質問も頂いて、それらがどれも良いところを突いおり、楽しく講義を進めることができた。

田渕さんの「超伝導量子コンピュータの歩き方」。超伝導量子コンピュータ実機の前から生放送で、背後に映るマシンに手を伸ばして「この背景、触れるんですよ~」と言いながらアルミフレームをバシバシ叩いて見せるところからスタート。いつもそうであるが、田渕さんのトークはいつでも現実を直視しており、聞くたびに”量子技術”の浮足立った雰囲気から我に返る。学生だった頃よりも頻繁に”量子技術”の浮足立った雰囲気に触れる機会が増えているので、なおのこと有難い説法を頂いている気持ちになる。マシンを作るということが、単にパフォーマンス的な論文成果を積み上げることではないということを痛感する。現場の人間の矜持である。


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