兵庫県立美術館で開かれている「怖い絵」展に行って来たので感想を書き留める。
「怖い絵」展公式ページはこちら
以下、展覧会の内容に触れるので注意。
感想を一言でまとめると、とにかく「レディ・ジェーン・グレイの処刑」に圧倒された、に尽きる。
「レディ・ジェーン・グレイの処刑」という作品は、この展覧会の目玉の作品で、公式ページにいけばでっかく表示されてる、女性が目隠しをされているやつだ。ここで載せるわけにはいかないので、リンクから絵を見てほしい。3m四方くらいの大きな絵で、展示スペースを順に進んでいった最後の広間に展示されている。これがものすごい。ダントツ一位だ。
まず絵の質感。中央の女性の肌や服の布の描かれ方などはエグいくらいリアル。タイトルの通り、この女性は処刑されるのだけれど、描かれた場面の緊張感が肌とか布を通して伝わるような、そういう臨場感を感じさせるリアルな質感になっている。もし、この場面を収めた写真が展示されていたとしても、ここまでの臨場感を感じないんじゃないか。つまり、単に写実的というよりも、さらにその上に、場の息詰まるような空気を閉じ込めたような、細部からそういう現場感がにじみ出ている。
そしてサイズ。3m四方というのは眼の前に立つとかなり威圧される大きさだ。単に大きいからではない。中で描かれている人たちが、ちょうど等身大かやや現実よりも大きいくらいになっていて、まさに目の前で処刑されるのではないかというサイズなのだ。これもまた圧倒させる要因になっている。
このあたりのディテールとかに感心した後、最後にこの場面の「続き」をイメージする。
ここまで来ると、しばらくこの絵の前から立ち去るのがもったいない気になってくる。実際、多くの来場者がここでうろうろしていた。
まだ色々書き足したいことがあるが、この辺で。もしかしたら伝わるかもしれないが、この1点だけでも元が取れた(?)と思っている。これはいいものをみたなあ、と満足した。展覧会の感想と言うより一作品の感想だが、個人的にはこの二つはイコールだ。
ちなみに展覧会のタイトルになっている「怖い絵」だが、そもそも怖さに焦点を当てて絵の紹介をした中野京子氏の『怖い絵』という著作があるのだ。何作かシリーズで出てていて、書店では平積みになっていたりしてる。僕は生憎これらの本を読んだことは無かったのだが、そういうことは全然関係なく十分楽しめるので問題ない。
また「怖い」と一口にいっても、畏怖とか狂気、戦慄とか凄惨さとか、理解できないという恐ろしさなど、ジャンルの豊かな「怖い」を紹介している。絵そのものだけではなく、どういう場面を描いたものか、という背景を踏まえて楽しむ仕掛けになっている。単純にホラー映画のような怖さではないので、そのあたりは広く構えるとよいのではないだろうか。
兵庫県立美術館では9月18日までやってるそうだ。そのあと東京に行くらしい。
最後に僕の常套手段の紹介。
その辺の書店にいけば、レジ横とかに展覧会の広告の栞が置いてあったりする。大抵そういう栞は100円引きクーポンになっている。大学生は1000円のところを900円にできる。今日も栞を使った。
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