2016年2月25日木曜日

屈辱のホワイトボード


うちの研究室の学生部屋には、ホワイトボードが2枚ある。
大きさは1800×900。どちらも同じサイズだ。
1枚は主に研究室内の実験予定を立てるために使用されており、もう1枚は議論用に使用されている。
予定記入用のボードがいつからそこにあるかは知らないが、議論用のボードは僕が研究室に入ってから買われたものだ。
費用を低く抑えるため、カウネットで購入した。

そのホワイトボードが困ったちゃんなのだ。
字を消した後に消し跡が少し残ってしまう。
どうも、研究室内で使用していたホワイトボードマーカーとの相性が悪いらしい。
僕の推薦するパイロット社のマーカーにしてみたところ消し跡が残らなかったので、マーカーの方をボードに合わせ、このボードにはパイロット社のマーカーで書きましょう、ということになった。
まったく、相手を選り好みする子である。
(というかやっぱりパイロットえらいな。)

マーカーを合わせて、しばらくは平穏な日々が続いた。

ところがである。
結局、なんだかんだで消し跡が残るのである。
はじめは順調だったパイロット社のマーカーであったが、日が経つにつれてうっすらとボードがくすんできた。

まあいろいろあったけど、端折っていかないと長くなるので端折るね。
(水拭きとアルコール拭きと表面コーティングの話とか、汚れを落とすためにマーカーで塗り塗りして消す、塗り塗りして消す、などのくだりは端折ります。)

購入から1年経った今では、初めは気にしていなかった消し跡がボードをむしばみ、写真のようになってしまった。
くすんだホワイトボードはまあ趣深いけれど、
消すのに全力でゴシゴシゴシゴシしなければならないのが圧倒的に不評だった。


それでね、うん、人間と言うのは無慈悲なもので、
「この、消しにくいし消し跡が残るようなホワイトボードを使用し続けるより、新しいものを購入したほうがいいのではないか」
そういう話が挙がるのは当然の流れだった。
「やっぱい安いボードは駄目だった」
こんな声も自然に挙がるようになった。
確かに、研究室内のもう一方のボード(ホーローのちゃんとした製品)は昔から使われているが真っ白できれいなままだ。
消すのにも力を入れずにさっと消せるし、その差は歴然だった。

とはいっても、信頼のおける有名メーカーのホワイトボードを買うとなると、結構な金額になるのである。

そこで提案された案が、
マグネット式のホワイトボードシートを購入し、今のホワイトボードの上にぺったり貼り付ける
というものである。
信頼のおける有名メーカーの製品を買えば、一定以上の品質が保証されることが期待できる。
さらに、通常のホワイトボードを購入するよりも安く済む。
ホーローのボードを買ったとして、結構な重量のあるそれを掛けることができるほど今の壁が頑丈か、という声もあった。

というわけでシート案は可決され、実行に移された。
つまりこういうことだ。
サイズに合わせて
はるー

ああ、なんというか、つらいよね。
屈辱だよね、カウネットのホワイトボード。

低価格ホワイトボードは、あまりに性能が悪く、くすんでしまったために
「ホワイトボード」
から、
「磁石がくっつくただの板」
に成り下がり、
その上さらにつらいことに、
「新しいホワイトボードの下敷き」
になったのだ。
アイデンティティの喪失と同時に、新しい製品の下敷きになる屈辱的な死だった。


きっちりと採寸され、隙間なく敷き詰められたホワイトボードシートは、今のところ優秀な消し味を見せている。

購入から1年程でその役目を終えた低価格ホワイトボード。

いままで、おつかれさま。

よくがんばったね。

ありがとう。


そして、おやすみなさい。

0 件のコメント:

コメントを投稿