2015年12月31日木曜日

あったかいコーヒーに砂糖入れたらしゅわしゅわってなってん


研究室のデスクの引き出しに、ドリップタイプのコーヒーパックを常備していて、コーヒーを飲もうと思ったら、DURALEXの青いマグカップにパックをセットしてお湯を沸かして淹れる。
こう書くとなんかこだわりがあるように見えるが、昨日書いたように水質があまり良さそうでない水道水を使っているし、あまり肥えた舌を持っているわけではない、と思う。
砂糖は入れるし、ミルクも入れるが、ストックが切れたら入れないで飲む(当たり前か)。
さらに、ドリップパック自体も、切れないように大量にストックがあったり、少なくなって来たら新しく買いに行って常になくならないようにしている、というわけではなく、なくなったので今日は市販のボトル缶コーヒー、という日も結構ある。


その日はドリップパックが切れていたため、コンビニでボトル缶コーヒーを買った。
冷たかったので、わざわざマグカップに移し替えて、電子レンジで温めた。
適当(テキトー)な時間温めて、ブラックだったので、砂糖を入れる。
砂糖をサーと注いだ瞬間、それは起こった。
しゅわったのである。
砂糖を入れた途端、細かい泡がしゅわしゅわ沸き立ち、表面に白い泡の層ができたのだった。
おお、これはエスプレッソのやつみたいや!と、言った(心の中で)。


次の日になって、こんなことがあったよ~と同期に話して、
過冷却の気液バージョンで、温めすぎてしまった液体がきっかけを与えたとたん気体になって沸いて出たのか、という話をした。
氷の場合は結晶構造がどうのこうのでエネルギーがどうこうで、気体の場合はどうだろうか、みたいなことを話した。
市販のコーヒーに含まれる成分との反応など、化学的な機構も疑ったりした。


その後、再現実験をしようと、また市販のコーヒーを買ってきた。
しかしまあ前回のパラメータを記録しているわけではないので条件が変わっている可能性が高いなあなどと言いながら、とりあえず適当にコーヒーを電子レンジで温めて、砂糖を入れてみたが、特に何も起きず、加熱が足りないかもしれない、ともう一度温めて、砂糖を入れた。
そのときである!
勢いよく沸き立ち吹きこぼれるコーヒー!
しゅわしゅわどころじゃなくてぼこぼこっとなって、コーヒーが周囲に飛び散った。しゅごい!
残ったコーヒーは最初の半分くらいになっていた。
とりあえずそれっぽい(前回よりひどい)現象を見ることができた。


後に分かったことだが、これはいわゆる「突沸」と呼ばれる現象であり、沸点を超えたが気体になっていない液体が、きっかけを与えられたために急に沸騰する現象だ。
電子レンジの加熱の仕方は、やかんでの湯沸しとは違ってみんなをまんべんなくそろーっと加熱してしまうのだろう。
だいたい話していたことは当たっていたようだった。
てか懐かしいな、突沸。沸騰石を入れましょうってやつ。やっとわかったよ、沸騰石の重要性。


ネットで調べると、マグカップで加熱した液体の突沸事故は結構深刻な問題として取り上げられており、やけどの事故などの事例があげられていた(国民生活センター:食品加熱時の突沸に注意)。
今回の場合、初回には「しゅわしゅわ」程度の小規模なものだったこと、2回目は「実験」というスタンスで臨んだこと、コーヒーの量はコップの2/5程度であり、突沸が起きても飛び散る量が少なかったことが幸いし大事には至らなかったが、実は結構危険だったというわけだ。


その後先輩と、電子レンジのように電磁波によって加熱する場合にはコップ中の水はどのように温まるか話したり、あと、"nucleation"という言葉を教えてもらい、メントスコーラの話もした。
また、同期くんと、そのほかの相転移について転移点を跨いでも相が変わらない例があるか、人工雨の話とか、相転移の次数との関係とかの話をした。
学部の頃に、沸騰と熱伝達についての学生実験があったなあ、という思い出話をしたりもした。

まさに、コーヒー突沸事件が核となり、物理の話題が沸いた、と言えよう(うるさい)。

誤って飲み物を温めすぎてしまった場合、扉を開けないで1~2分冷ましましょう。
国民生活センター「くらしの危険324号」との約束だぞ!

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