「紙巻器」という言葉を知ったのは、つい1週間ほど前のことだろうか。
「紙巻器」という名称の認知度がいかほどのものか知らないのだが、短いながら僕の人生の日常会話において「紙巻器」という言葉が登場した経験は無く、それはこれを読んでいる皆さんの多くにとって同様なのではないかと(勝手に)考えている。
今日は、この「紙巻器」という名称を知るに至った経緯をベースにして、「紙巻器」にまつわる話題を書きたいと思う。
(今回も長い。)
もったいぶった言い方をしたが今後のお話のために先に書いておくと、「紙巻器」とは「トイレットペーパーホルダー」のことである。
トイレでペーパーを保持しているアレである。
ついもったいぶった結果4行も空けてしまった。
が、画面上では大した空白ではないので読んでいるうちに視野に入ってしまって「なんだそういうことか」と思ったかもしれない。
また、「紙巻器」という名称は、僕が勝手にマイナーだと思っているだけで普通に使われている名称なのかもしれない。
ただ一重に、何かしらの「全自動紙巻きとりマシーン」を想像して、続けて「果たして一体何の紙を巻き取るのだろうか」と疑問に思った方がいたら、と思ってしまっただけだったのだ。
これは、研究室がある建物のトイレの紙巻器についての話である。
(建物内全てかは知らないが、)これは、研究室がある建物(以下、五号館)のトイレの紙巻器、INAXのCF-31だ。
使用したことがない方には分かりにくいかもしれないが、多くの方が想像されるであろう紙巻器とはペーパーの回転方向が逆である。
そしてペーパーは所望の長さだけ引っ張られた後、紙巻器の下あご先端のギザギザによってカットされる。
芯を保持する部分は無く、ペーパーは下あごに置くだけ。
今思いついた表現を使うことにすると、こいつは「アンダースロー下あごカットタイプ」だ。
(この場合、多くの方が想像されるであろう紙巻器が「オーバースロー上あごカットタイプ」であることは言うまでもない。)
さて、「アンダースロー下あごカットタイプ」のこの紙巻器に設置されたペーパーを使用するとき、
使用者はペーパーを引く手に抵抗を感じる。
「下あご」との摩擦があるからである。
ペーパーは「オーバースロー上あごカットタイプ」のように芯を保持されて宙づりになっているわけではなく、「下あご」に乗せてあるだけなので、当然ペーパーは下あごの上を引きずられる。
ペーパーは「オーバースロー上あごカットタイプ」のように芯を保持されて宙づりになっているわけではなく、「下あご」に乗せてあるだけなので、当然ペーパーは下あごの上を引きずられる。
この摩擦力は自重に依存するため、使用し始めて間もない(質量の大きい)ペーパーだとより顕著だろう。
(カラカラカラーっと容易に引き出すことのできるはずだった)ペーパーを引く手にかかる力に、僕は「ずるずる引きずってしまっている感」を感じてしまう。
そして悲劇は起こる。
引っ張り方が悪いと、ペーパーを引っ張るや否やペーパーがちぎれてしまうのである。
これは紙質に依存することなのだろうけれど、少なくとも五号館で使われているペーパーは、その摩擦による力に負けてしまうことがあるのだ。
虚無感とともに「もーなんでこんな形してるねんオーバー上あごならこんなことならへんやんけなんでわざわざこんな形してるねん」と思うのだった。
調べてみたところ、どうもこの製品は「ワンハンドカット紙巻器」、すなわち「片手でペーパーをカット出来るように設計された紙巻器」なのだそうだ。
ほう、つまり、「オーバー上あご」の場合、ペーパーを引いていない方の手で「上あご」部分を押さえておく必要がある、ふむふむ・・・。
実際このことを知ってから「アンダー下あご」を使用してみて、ペーパーを所望の長さだけ引っ張った後、そのまま手を(斜め下に)おろすことで確かに片手のみでカットすることができることを確認した。
そしてカットの際、上に書いた「摩擦」があるおかげでペーパーは回転しない。
「アンダー下あご」は、両手を使うのが困難な人にも使用しやすい製品だったのだ。
結局、ワンハンドカットの特性上、やわなペーパーはワンハンドカットに向いていない、ということがわかった。
(めでたし)
話はここで終わってもよいのだが、調べていて少し気になることがあったので続ける。
実は、「オーバー上あご」にも「ワンハンドカット」の製品が存在するのである。
先程は『「オーバー上あご」の場合、ペーパーを引いていない方の手で「上あご」部分を押さえておく必要がある』と書いた。
「上あご」を手で押さえて、ペーパーを(斜め)上向きに引っ張ることでカットすることができるよね。
ミシン目があるペーパーならば、「上あご」を押さえて初めてミシン目で切ることができる。
(TOTOのページではこの「上あご」は紙切板と呼ばれていた。)
つまり、紙切板を押さえてくれる機構があれば、もう片方の手は不要になるわけだ。
これを実現しているのが、「オーバー上あご」での「ワンハンドカット」である。
TOTO
普通の「オーバー上あご」のように見えるが、紙切板がペーパーを上から押さえつける機構がついている。
INAXとTOTO、それぞれのワンハンドカットに対する取り組み方の違いが面白い。
ちなみにこちらについても「アンダー下あご」と同様、使用者は、ペーパーを引く手に抵抗を感じる(そもそも、ワンハンドカットにするためには不可欠なのだ)。
そして思い返すと、「オーバー上あご」の「ワンハン」も、弱いペーパーだと負けてちぎれていたような気がしてきた。
正確に言うと、今まで「オーバー」で経験した「ペーパーが千切れてしまう現象」が思い出され、それらはすべて「ワンハン」によるものだったのかもしれないと思い始めた。
どうなのだろうか。
どうなのだろうか。
長々と書いたが、「ワンハンドカットには相応のペーパーを」というのが結論である。
トイレの個室で、ちっちゃく千切れて床に散乱しているペーパーを見たことがないだろうか。
あの個室の紙巻器は「ワンハンドカット」だっただろうか。
そして、どんなペーパーだっただろうか。
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