2014年11月13日木曜日
『ミツコ感覚』
かねてから観たいと思っていた映画を3本レンタルしてきて観た。
「趣味は映画鑑賞です。」というわけではないし、実際、映画をレンタルしてきて観るなんて滅多にしないわけで、それでも観たいと思う作品が3つあって、自分としては珍しく映画を見倒すという時間の使い方をしてみたのだった。
観た作品は
『ミツコ感覚』
『TRON』
『TRON: Legacy』
の3つ。
それぞれに対して、観るに至るまでの経緯と観た感想を書こうと思ったのだが、一つ目を書いた時点でかなりの分量になってしまったので、一つ目を書いて切ることにした。
『ミツコ感覚』(2011年)
経緯。
ある日、たまたまテレビをつけたら『深夜食堂3』というのがやっていた。
1話完結の30分ドラマ、観たのは第三話だったらしい。
その中で登場した里見けい役の石橋けいという女優さんにぐっときたことにより、観ている間からスマホでサクッとその人と出演作品を調べる。
たどりついたのが、出演作品のひとつである『ミツコ感覚』だった。
これは観るしかない。
感想。
あらすじが知りたい人は公式ページのあらすじを見て欲しいが、これはもう内容に触れてしまっているので僕自身は「作品を見る前に観なくてよかった」と思っている。
まず、観始めてすぐ、作品の中の世界で起こる出来事ひとつひとつと(我々多くの人にとっての)日常とのズレ、セリフひとつひとつの違和感に置いていかれそうになり、地に足がつかないようなふわっとした感覚にさいなまれた。
なんだろうこの世界観は、と、僕は実際に手で頭を抱えながら観ていた。
斜に構えて、半笑いで、なんだこれ、と思って観ていた。
変な脚本に変なキャスティングでシュールな仕上がりにして、観ている人を混乱させ、シュールな作品が好きな人が、シュールだからという理由で「良い」という評価をする。
そういう映画。
途中までは、そういう感じかなあと思って観ていた。
でも、なんだろう、中盤くらいからすごく真剣に見入ってしまって、
それぞれの登場人物の置かれた状況がそれぞれにどうしようもなくて、
そしてそれぞれの内面というか感情をえげつなく表現した役者さんの演技が生々しくて、自分の中で妙に現実味を帯びて迫ってくる。
普段の生活ではなかなか行きつかない、でも過去に姿形は違えど出会ったことのあるような結構嫌な感情を揺さぶられて、つらい。
そうなってしまったが最後、各人のセリフの一言一言でいろいろと考えてしまって、「これ観てなんかここまでいろいろ考えこんでしまう人っているのかな」とさえ。
一回観たあと数日おいて、もう一回観た。
展開を知っているとさらに一つ一つのしぐさや間、目、会話と回想に質量が増し、しっかり作ってあるなーなんて思いつつ、受け止めるのが重い。
そうやって針が大きく振れたことをもって、僕は「良かった」と評価をします。
観た後気になって、ネットでの評判を観たりしたけれど、書いてある感想にはあまり共感できなくて、
そんな安い映画じゃないだろうに、と思うんだけども、
一方でもちろん、これはあくまで僕のケースであって、多分「変な映画」って思うだけなんじゃないかな、とも思ったりもします。
最後に、石橋けいさんはとてもよかったです。ぐっときました。
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