2019年4月14日日曜日

「チェコ・デザイン100年の旅」

岡崎市美術博物館で現在開催中の展覧会「チェコ・デザイン100年の旅」に行ってきた。

公式HPはこちら



この展覧会では、チェコもしくはチェコスロバキアにおける、1900年ごろから100年の間の装飾的デザインや工業的デザインを追いかける。展示品の数も多く充実しており、非常に満足の内容だ。あまりにもグッとくるデザインを目に、ずっと興奮して心拍数が高く、漏れ出てしまう声を抑えるのに気を遣うほどであった。

一番面白かった点は、チェコもしくはチェコスロバキアという国が歩んできた歴史的な背景と呼応してデザインの変遷があるということ、そしてその変遷がよくわかる展示だったことだ。

まず19世紀末にアール・ヌーヴォーがあり、そしてミュシャがいる(まずこれだけでやばい)。自然的で曲線的なデザインからその後、チェコ・キュビスムと呼ばれる幾何学的な構造が登場する。展示されているイスや皿、雑誌の表紙デザインは独特の緊張感があった。そしてアール・デコへと流れていく。金色の直線曲線で縁取られた本の装丁が見事だった。

この流れだけでも見ごたえがあるが、1930年ごろからのデザインでは、電灯や食器などの生活雑貨に対して、機能性を持ち洗練された形状の品が表れる。ヨーロッパ諸国の大量生産の流れ、機能主義の流れが影響する。装飾性が抑えられ、一貫した思想の中で食器セットとかが作られていて、それがまとまって展示してあり、カッコいい。耐熱ガラスのティーセットなどと言って10ほどのガラス食器がびしっと整列している。全くカッコいいし、全く最先端でありドキドキする。

このように時代ごとに大きくデザインの変化が出ており、1940年以降も、大戦の影響による材料の不足でどうデザインに影響が出たか、そして社会主義の影響が工業製品デザインにどう現れるか、などが展示品を眺めて感じ取れるようになっている。

ここの作品に目を向けても、独立してそれ自体が良いのも腹立たしい。電話、掃除機、泡立て器、いちいちスタイリッシュにまとまっている。似たような方向性、つまり一つの国を取り上げてデザインを歴史的な流れとともに追いかけるものに、「スイスデザイン展」というのが2015年にあったが、あれともまた違う良さがあった。やっぱり東側の国のテイストが出ているような。

愛知県岡崎市の郊外なので行きにくいかもしれないが、おススメである。巡回で富山と東京にも来るらしい。



こういう、デザイン史みたいなのを知りたいときに良い本。展覧会で色々見た後、家に帰ってきて読むとめっちゃ楽しい。

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